2010年2月25日木曜日

HIGH FIDELITY Vol.11 2010.2.24

 KOENJI HIGH 2nd ANNIVERSARY 
高橋浩司(HARISS)presents"HIGH FIDELITY"vol.11


テキスト:TakuyaSakai
少しづつ暖かくなりだした2010年2月24日、高橋浩司(HARISS)presemts"HIGH FIDELITY"vol.11がKOENJI HIGHで行なわれた。今回は、2010年2月10日にニューアルバム「Life Goes On」を出したばかりの『Analogfish』vo/baの佐々木健太郎。また、アナログフィッシュと同日にソロアルバム「TWO PAIR」を発表した『勝手にしやがれ』vo/dsでリーダーでもある武藤昭平。そして『THE GROOVERS』vo/guであり、2008年にはソロアルバム「LAZY FELLOW」を発表し、勢力的に活躍の場を延ばす藤井 一彦。三者三様の弾き語りは、初春を匂わすかのように暖かく幕を上げた。


客席を埋めるオーディエンスには軽やかな談笑が広がり、ミュージシャンの登場を待ちわびていた。それとは対照的なステージには、マイクスタンドに楽譜立て、椅子にギター立てが、それぞれひとつずつ中央に置かれている。バンドでのライブと違い、ステージ上のスペースが広く見え、彼等の新たな一面に期待と好奇心をより一層かきたてているようだ。
そうこうしていると、会場内の照明が暗くなり、ステージ上に光が集まっていく。
最初のギタリスト『Analogfish』のvo/baの佐々木健太郎が照らし出され、静寂の中、ひとり中央でアコースティックのチューニングから音を響かせ始めた。



佐々木健太郎(Analogfish)

軽やかなリズムのイントロから、力強く張りのある声が広がり始め、2曲目の「Ready Steady Go」で最初の山場をむかえた。
オーディエンスは彼の爽快な歌声にパワーをもらっているかのように、背筋を伸ばし目を輝かせた。「諦めかけてた輝きに何回だって手を伸ばせ」と発せられた彼の声に会場の人たちみなが背中を支えてもらえたようにおもう。




ビールをひと口、クールダウンを誘う3曲目のバラード「あいのうた」から、徐々にテンポが上がる。
5曲目に差し掛かる頃には体を揺らし、全身で彼の爽快な歌声を受けているようだった。さらに終盤では、オーディエンスの手拍子と共に歌い上げられ、会場内は青空を思わせるさわやかな熱を帯びた。



武藤昭平(勝手にしやがれ)
黒いスーツに身を包み、右手にギター、左手に缶ビールを持って現れるとステージの椅子にだらりと腰を下ろした。スポットライトの褐色の中、黒いハットの淵が上がり、ビールをひとくち口に含む。チューニングの時間を少しとった。『勝手にしやがれ』のvo/dsでリーダー武藤昭平だ。
客は音を待った。無造作にギターがかき鳴らされ、フラメンコを思い起こさせる情熱的な曲調が響き渡る。独特のハスキーな声がゆったりとその音に乗る。いつの間にか前のめりの姿勢になり、ステージに引き寄せられるような感覚がした。
「隕石が落ちてきて心に穴を空けた 女」というフレーズが耳に残る3曲目までを終えると、チューニングのため時間を取るが、一言も話さない。それから、穏やかな曲からはじまり、5、6曲目となだらかな坂を上るように曲のテンポもオーディエンスの熱気も上がっていくかのようだ。
そして、弾き手はギターを抱くような姿で立ち上がり、足をモニターに置き、早いリズムで胴部を叩き始める。会場から歓声や拍手が起こり、自然と手拍子へと変わっていった。「なにかひとつになれた気がした。ありがとう」と口を開き、最後の曲を熱唱。
終えると会場入りしてきた時のように右手にギター、左手に缶ビールでゆったりとその場を後にした。




藤井一彦(THE GROOVERS)
会場が暗くなると背に光を帯び逆光の中、首にかけたハーモニカの音を確かめるように小さく吹いた。
そして、語りかけるように柔らかく、凛とした印象のする声で唄われる一曲目。会場も大きくその雰囲気に呑まれたように静まり、次の一挙一動を見逃すまいと聴き入っている。「…レンブラントの光と影のようだ…」とフレーズが聞こえたかと思うとそこには、『THE GROOVERS』vo/guの藤井 一彦その人が立っている。
詩のような歌詞ひとつひとつを、かみ締める様に聴き取ろうとしているオーディエンス。「忘却の闇の中消えない光。お前の涙だけが時を止められるんだ。お前の思いだけが時を止められるんだ」3曲目の言葉が心に入ってくる。数曲進むにつれ、席を立ち体を揺らす人たちが増えてくるのと同時に、曲のテンションも上がって来た。7曲目が終わり、拍手と歓声がなる会場内。それは次第にアンコールの手拍子へと変わる。
応じてくれた!拍手と歓声が一段と大きくなる。曲目は「MOON RIVER」独特の間隔と彼の優しい声が、オーディエンスの心を湿らせているような雰囲気が辺りを包む。静かに 曲が終わりを告げると、ほんの少しの間が空き、大きな拍手が彼を送った。

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